2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

音楽とインターネット

家に帰ってきて、まずはじめにパソコンでインターネットブラウザを立ち上げる。 youtubeでいつもの音楽を聴く。 いつも聴く音楽は、個人的な流行を表している。 それは生活の中で移ろってゆく感情の中心位置がどこにあるのかを表しているようにも思われる。 …

日が暮れてゆくこと

洗濯機を回している間は、明確な待ち時間よりも(たとえば駅のホームで電車を待っている時間や、人気のラーメン店の行列に並んでいる時よりも)やや自由の多い、制約の少なさが魅力で、そういう曖昧な拘束時間は幸福を感じるのに適しているのだと思う。 圧倒…

グレートホリデイ

いわば休日の王である。 一定の間隔で続いていくだろうと思われたあれやこれやは便宜的なバナナの皮一枚でバランスを崩壊させ目眩と共にアイデンティティーが瓦解する。良かれと思った行動が(仕事の場ですれ違いが発生し)災いとなってハートブレイクを催し…

夜空で花火が爆発する

花火大会の日だった。 予期せぬ事故が起きたらしく業務用黒ひげ危機一発の黄ナイフが入力の受付けをやめる。 3台のモニタが真っ赤に染まってエラーとアラートを吐き続けている。のんびりエラーログを見ている時間はおそらくない。もたもたしていると黒ひげ…

波のやりとり

声は横隔膜の上下によって肺から気管を通り、喉から唇を抜けた結果、出力される空気の振動のパターンであり、信号である。声は波の形で表現することができる。音波は音の速さで減衰して消える。オリジナルのパターンは二度と戻って来ないけれど、それが無か…

おうちでフジロック

夜勤に行く前に少し文章を書いておこうと思い、パソコンの電源を入れる。 OSが目を覚ましてデスクトップ画面が表示されると、なぜかわからないけれど退屈な気分が1割ほど増す。きっと同じ画面を何度も見すぎたせいだろう。 パソコンはやがて人間の第2の…

朝のjazz

目が覚めて気分が上手く眠りの底から這い上がれない時にMiles Davisがちょうどメロウなトランペットの音色をライブハウスに満たす。反響の抑えられたデッドな音色はロマンチックでやさしい。その音には想像力がある。たとえば土から緑色のつやつやした双葉が…

赤ん坊の写真

電車の中はお湯に似たにおいがする。雨の日は特にそうだった。 本当はお湯のにおいではない。それは人のにおいなのだと思う。 たくさんの人間から発せられるシャンプーやボディーソープや、柔軟剤や汗や、新しいワイシャツや革のバッグや、少し汚れたスニー…

光の形

手のひらに収まる大きさの四角い光が部屋の中に浮かんでいる。 すこしまぶしい。 白い光はカーテンが閉ざされた部屋の中で、とても静かだった。 光からは音がしない。四角い光の性質も、それほど主張するものではなかった。 手に持った光の中には文字が書か…

ひと

地下鉄の中にはたくさんの人が立っている。 ドアの横に立ったワイシャツの男は、首をだらりと曲げ左肩に頭を預けるようにして天井を見ていた。彼の周りには人がいなかった。 座席とドアを仕切る板に重心を傾け、まるで人形のように天井を見つめていた。 電車…