おいしいミックスジュース

 知り合いのお宅でミックスジュースを頂いた。
 いつも美味しいジュースなので「これ、いつ飲んでも美味しいですね」と伝えると、
「それね、最初に入れるジュースが美味しかったら、なんでも美味しいんだよ」と教えてださった。
 最初にりんごジュースを入れたり、コーラスウォーターを入れたり、牛乳だったり、味の核となる飲み物が美味しければ――。

 ミックスジュースを飲みたいな、と思う時、まずいミックスジュースを飲みたいな、とはあんまり考えない。
 おいしいのがいいな、と考える。
「ただ」「ミックスジュースが」「作りたい」と考える時も、「ただ」の中に含まれているわずかな元気の中で最良の選択(素になるジュースや果物の選定)を、おそらくしている。
 この時に、◯◯のジュースを入れるといつも美味しくなる、という要素が、自分の中で判明していると、不満は少なくなるはずだ。と考えた。
 体調や気分は変動するので、ボトムにある自分の状態を想定して、おいしいジュースを、あらかじめみつけておけばよい、と結論した。
 自分の好きなジュース。

 おそらく自分の好きなジュースのことを、テーマと呼ぶんだろう。
 このテーマが入っていれば、満足するな、というのがあったらいいなあと思う。
 そしてある時、突き詰めてきたテーマに沿った、完全にぴったりの果物と、時間と場所と体調とが、ある日突然訪れて、その時は史上最高のミックスジュースができるのだろう。

 そんなことを考えて、では、テーマはどこにあるだろうか、と色々思い浮かべてみて、最終的にしじみの味噌汁が、飲み物の中では一番おいしい気がしている。