強い雨の中を駆け抜ける
駅の構内から濡れた路面が見えてた。朝は降ってなかったから傘を忘れた。
雨やどりしてる集団が響いてる。待ってるんだとすぐ分かる。
傘が無いときは隠れてるのが普通なんだろうか。静けさを待つのが。
博打が嫌いなのは努力をしても意味がないからだ。これはエゴだ。
いつからか自分以外のものに人生を預けるのが怖くなった。
傘にも、雨にも、時間にも。
重い雨ん中に踏み出すとすぐに服がみしょみしょになる。
こんな時いつもカラオケが勝手に付けるミュージックビデオを思い出す。
このだささをどなたか笑ってくだされば随分こころも晴れるのに。
そんな奇特の人は自分だけだったから人のいない夜道を走る。
もっともっと面白くなる。かばんを抱えて雨の中を走ってみると。
水たまり飛び越えて、犬に吠えられて、いい歳をした悲しい大人が。
降水確率100%の夜、100%びしょ濡れになる方法で家に帰った。