コラーゲン

 電車内にて、空席に座った瞬間「コラーゲン……」と呟いてしまい、自身の限界を知る。
 まったく脈絡のない一言であった。

 最近ダウンロードしたゲームアプリを起動し、画面をタップすると生命力がごんごん溜まっていった。生命力が溜まると魚やサンゴを作ることができて、バーチャル水槽の中に生命が満ちるのである。グッピーみたいなんが6匹ほど泳いでおり、火山がどこどこ動いて生命力を吐き出し続けている。なんだかよくわからないけれど、生命力を溜めるといいことをした気分になるのでよくタップしている。

 お母さんに「お元気ですか」とメッセージを送った瞬間、心配や親不孝な気持ちが上がって疲労度が倍になった。お母さんをタップすると疲労度が上がる仕組みになっているのだと分かった。疲労度がたくさん溜まると全く意味のないことを口走ることになり、ゲームを進められなくなる。そういう時は柔らかい布にでも包まって、時間経過と共に回復するであろう何らかのパワーが溜まるのを待つことにする。